すごいぞ!
独特の武器防具システム
 

「闘人魔境伝ヘラクレスの栄光」において、
主人公ヘラクレスは
魔法(マジック)が使えず(HPを消費する魔法のアイテムを使うことは可能)、
戦闘は基本的に1対1の肉弾戦が主体となるのだが
注目していただきたいのはその戦略性を高める
独自の武器・防具システムを持っていることだ。

武器防具のディテールへのこだわりは相当なもので
これによりドラクエと大きく差別化が図られているぞ。

 特に武器には
耐久度
片手持ち武器(ワンハンド)両手持ち武器(ツーハンド)
属性
という3つの概念があり、
これらの違いによって武器それぞれ特性が大きく異なる。
そのため、モンスターによって弱点となる武器も変わってくるのだ。

武器は一度に3つまで携帯でき、
戦いを有利に展開させるためには状況に応じて持ち替えることが必要だぞ。
もちろん一本の武器でやり通すことも可能だが、あまりスマートなやり方とは言い難い。
 
 

◆いつでも武器の持ち替えが可能(武器は3つまで持つことが可能だ)




 

 

 ここではこのスゴイ武器防具システムを見ていくぞ。


 





■武器・防具の耐久度
 


「闘人魔境伝ヘラクレスの栄光」において武器防具に「耐久度」というパラメータが設定されている。
戦闘で
武器は攻撃する毎に、防具はダメージを受ける毎に消耗していき、
耐久度が0になると壊れて無くなるというわけだ。


 

消耗した武器・防具類はアテネの街にあるヘパイトスの鍛冶屋で修理してもらえる。
さらに5000Gで雇うこともでき、雇ってしまえば戦闘が終了するたびに耐久度が満タンまで回復するぞ。
 

この武器防具が消耗していくというシステムは、古くはテーブルトークRPG(中でもルールの複雑なもの)とか、コンピューターゲームではパソコン「覇邪の封印」(1986工画堂スタジオ)などで採用されていたシステムだが、「ヘラクレスの栄光」において消費の度合いのバランス調整がわりと行き届いていたり、ゲーム自体、ドラクエがベースになっている分、比較的なじみやすいモノとなっていて、非常にうまく取り入れられている印象だ。
 
 

モンスターが装備の耐久力を低下させる「ラスト」のマジックを使ってくるところなんかこのシステムならではといったところだろう。

鍛冶屋を雇っていないと「ラスト」のマジックは大きな脅威だ。

 


 
 





■両手持ち・片手持ちの概念

武器には「ワンハンド」「ツーハンド」の2種類があり(この呼び名にもコダワリが・・・)

一般的に
ワンハンド武器(主に剣)は
盾が使える代わりに攻撃力が落ちる
無難タイプ

ツーハンド武器(剣以外)は
両手がふさがって盾が使えないため防御が手薄になってしまう。
そのかわり攻撃力が高い、あるいは特定の敵に対して大きな効力がある(:特種な属性の武器)
攻撃重視・特殊タイプ
といった具合に性格付けがしてある。

特に
モンスターに対してヘラクレスのレベルが低い場合、その差は顕著にあらわれるぞ。

未知の土地への遠征時は防御力重視でワンハンド武器。
ボス戦や経験値・金稼ぎの時はツーハンド武器。
という具合に場面に応じて使い分けるとスマートだ。
 
 

◆ 1H武器2H武器の威力の違い ◆

「てつのつるぎ(1H)」「ハンマー(2H)」  
    ▼

ハンマーと比べると威力は小さいが
  ▼    

与えるダメージは強力

盾が使える分、ダメージは軽減される
  しかし・・・

受けるダメージも大きい
 モンスターに対してヘラクレスのレベルが低いと、ダメージの差は顕著にあらわれるぞ。
 
 






■武器とモンスターに属性がある

常に新しい戦闘システムがウリであるFFをはじめとする現在のRPGでは
武器と敵との相性を決定する「属性」の概念は
もはや当たり前といっても過言ではないが
それまでのファミコンRPGでは
武器の特徴は「攻撃力の違い」と「道具として使ったときの効果」だけでしか表現されていなかった。

実は「闘人魔境伝ヘラクレスの栄光」は属性の概念が導入された初めてのファミコンRPG
武器とモンスターそれぞれに属性が設定されており(下表参照)、
武器とモンスターの相性によりダメージが大きく変わるしくみになっているぞ。
 

●モンスター属性表●
地上系 空系 海系
プノトン
ラビ
がいこつ
歩行樹
グラスデク
機甲兵
etc
ウナトサウルス
黄金の鹿
etc
シーピープル
コジマン
シースネーク
etc
●武器属性●

・通常武器:剣系(1H)、オノ系(2H)、ハンマー(2H)
・対空系武器弓矢系(2H)
・対海系武器矛(ほこ)系(2H)

その他、特定のボスモンスターに有効な武器もある。

たとえば地上の敵である「ヘル機甲兵」と海の敵である「海坊主」に対して
「三つ又の矛(みつまたのほこ)」と「ハンマー」で攻撃した場合では
下のようにダメージの値が大きく違ってくるぞ。
 
ヘル機甲兵(地上系)   海坊主(海系)
「みつまたのほこ」で攻撃した場合
  「みつまたのほこ」で攻撃した場合
「ハンマー」で攻撃した場合
「ハンマー」で攻撃した場合

  

■ 参考 ■

さらに当時発売された攻略関係の書籍によると
どうも地上系のモンスターに関してはさらに細かく4つの属性が設定されているらしい。
それを下の表にまとめてみたぞ。

ただ、地上系の4つの属性の間では
ゲームの進行に影響するほどの大きなダメージの差は現れないので
あくまでも参考程度に見ておいて欲しい。
 

●モンスター属性表
地上系 空系 海系
無属性 草系 石系 魔法系
プノトン
ラビ
がいこつ
etc
歩行樹
グラスデク
etc
ストーン系
etc
妖術使い
ロブ
etc
ウナトサウルス
黄金の鹿
etc
シーピープル
コジマン
シースネーク
etc

●武器属性表
武器\モンスター 無属性 草系 石系 魔法系 空系 海系 備考
剣系(1H)        
×
×
 
オノ系(2H)  
 
 
ハンマー系(2H)    
 
 
弓矢系(2H)        
 
矛(ほこ)系(2H)        
 
ヤリ系(2H)
 
 
 
 
特定のボスモンスターに有効

◎は効果の高い武器、△は効果の落ちる武器、×はさらに効果の落ちる武器
 
参考文献:
・「闘人魔境伝ヘラクレスの栄光・完全必勝本」(JICC出版局)
・「ファミリーコンピューターマガジン」(徳間書店)

 


ファミコンでは「RPG=ドラクエ」の当時、
これらのシステムについてプレイヤーの間で大きく賛否が分かれ、
「複雑だ。面倒だ。」と言われて敬遠されたりもしたが、
FFが大衆に認知されている現在となっては
この程度では「複雑」の範疇(はんちゅう)には入らないだろう。
むしろ冷静に考えてみると、非常に理にかなってる上に、
単調になりがちな1対1の戦闘に緊張感・戦略性を持ち込んでいて
なかなか優れたシステムだといえる。

何度かの大きな仕様変更の末、急いで仕上げられたフシがあり
最終的なバランス調整が甘くて
システムを生かし切れてない部分があるのは残念だが
「闘人魔境伝ヘラクレスの栄光」を語る上でぜひぜひ注目していただきたいポイントだ
(これを昇華したシステムを続編でやって欲しかったのだが・・・)
 


 
 
 



後継者

ゲームのシステムを考えるときスムーズな進行を優先すると
ルールを複雑にしてしまうような細かいリアリティは
どうしても切り捨てられる(ま、それがゲームなのだが)。

そういうわけで
これらのシステムのなかでも特に耐久度システムを受け継いでる作品は残念ながら少ない
(「ヘラクレスの栄光」の続編ですら見る影も無くなっているくらいだ)

パッと思い浮かぶのは「SA・GA」シリーズ、「ディアブロ」シリーズくらいか。
 

「魔界塔士SAGA」では
武器は使用回数が設定されていて
1回使用する毎に数値が1ずつ減っていき、0になると無くなる・・・というようになっている。
基本的にアイテムは使い捨てになっているなど少々毛色は違うが
耐久度システムをうまく昇華させた好例だろう。
 

魔界塔士SAGA(1989 スクウェア)
ちなみに武器は使い捨てというのは
「消費は美徳」だった、いわゆる“バブル期”ならではの発想かもしれない(笑)。
(消費文化への皮肉みたいな意味合いもちょっと含まれていたのかも)

 

「ディアブロ」なんかはとてもいい感じで
武器・防具の一つ一つに攻撃力(防御力)、耐久度、属性、必要筋力などの数値が設定されていて
正当な後継と言えるかもしれない(笑)。
 

Diablo(1996 Blizzard)

DIABLOでは武器をはじめとするアイテムに様々なパラメータが設定されている

モドル